当科医局員である春原浩太郎医師の研究論文
「Podometrics in Japanese Living Donor Kidneys: Associations with Nephron Number, Age, and Hypertension」が
Journal of the American Society of Nephrology誌(米国腎臓学会誌)に掲載されました。
ポドサイトは、腎糸球体血管を外側から覆う細胞で、正常な腎臓濾過機能を維持するために重要です。ポドサイト障害は、蛋白尿や糸球体硬化などの腎臓病に特徴的な変化を引き起こします。ポドサイト数の減少は、腎臓病進展の共通経路として重要と考えられていますが、ポドサイト数の正確な計測には莫大な時間・労力と充分な腎臓検体が必要でした。
春原医師は、オーストラリアMonash大学のJohn F. Bertram教授に師事し、腎組織標本1切片におけるポドサイト指標(ポドサイトの数や大きさ)を推算する方法を改良しました。この方法を用いた日本人移植ドナー腎の解析により、ポドサイト指標が、ネフロン(糸球体)数、年齢や高血圧と密接に関連することが示されました。また、ネフロン数が少ないとされる日本人のポドサイト数は、欧米人と同等であったことも明らかになりました。
本報告の方法により、腎臓病患者さんから採取された腎生検検体や各種腎疾患動物モデルにおいて、より正確で簡便なポドサイト指標の推算が可能となるため、今後幅広い応用が期待されます。
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