腎臓再生研究に関しまして(患者様および医療関係者各位へ)

当科腎臓再生チームの研究内容につきまして、以前より各種メディア等で研究に関する記事を取り上げていただいており、その後今日まで多数のお問い合わせをいただいております。現在、相談のための診療予約が入り、通常の一般診療や研究業務に支障をきたす事態を招いております。誠に申し訳ございませんが、腎臓再生に関するご質問等での診察予約は受け付けておりません。また、現時点で再生治療の被検者様募集(治験)などは一切行っておらず、治験等に関する個別のお問合せについてはご遠慮申し上げております。この点、何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。尚、患者様個人からのご寄付につきましても遠慮させていただいております。腎臓再生研究につきましては、進捗があり次第、当ホームページへ掲載予定でございますので、随時ご覧くださいますようお願い申し上げます。

東京慈恵会医科大学附属病院 腎臓・高血圧内科

The Jikei University Nephrology and Hypertension
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東京慈恵会医科大学附属病院 腎臓・高血圧内科

The Jikei University Nephrology and Hypertension
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腎病理班

1. IgA腎症についての臨床研究

厚労省進行性腎障害研究班のIgA腎症前向きコホート研究を主導、1000例以上の登録症例を追跡し、腎予後判定の識別・治療法選択の妥当性の検証を行っている。腎臓病総合レジストリーを用いた解析を行い、IgA腎症診断時の臨床的重症度には地域差があり、腎臓専門医が少ない地域ほど重症度が高いことを報告した(岡林佑典 日本腎臓学会2016, Okabayashi Y ASN 2016)。

2. 各種腎疾患における糸球体密度の臨床的意義

新潟大学小児科との共同研究により、出生時超低体重であった小児例では、対照群に比し糸球体密度が著しく低値であることを誌上報告した(Koike K CJASN 2017)。日本人のネフロン数の推算研究(日本医大・モナッシュ大学との共同研究)も成果が得られ、ネフロン数の個体差、高血圧例・CKD例での解析結果について報告した(Kanzaki G APCN 2016, ASN 2016)。

3. 高血圧・加齢と関連する腎障害に関する臨床病理学的検討

非CKD剖検腎、DM合併剖検腎で皮膜下と皮髄境界の組織指標を比較し、高血圧や加齢との関連を報告した。非CKD剖検腎では高血圧が虚血性病変に保護的に作用すること、DM合併剖検腎における糸球体肥大の部位別特徴など、重要な知見が得られた。(Okabayashi Y ASN 2016, Sasaki T ASN 2016)。

4. メサンギウム細胞の発生・機能に対するVEGFの作用

これまでpodocyteから産生されるVEGFは糸球体内皮細胞だけでなくメサンギウム細胞機能維持に重要であることを、Tet-on systemを利用したpodocyte特異的VEGF過剰発現マウスで見出した。本年度はpodocyte-VEGFがメサンギウム細胞PDGF受容体のリン酸化を調節することを明らかにし、この重要な知見につき論文投稿中である。

5. ホドサイト解離と障害で誘導される転写因子とその機能

podocyteは、隣接podocyteと基底膜との間で緊密な接着を保つことが機能維持に重要である。そこで①単離糸球体からoutgrowthして解離・脱分化したin vitro podocyte mRNAと②Nep25マウスとRiboTagマウスを交配し、podocyte特異的な障害マウスから得られたin vivo podocyte特異的mRNAの遺伝子発現プロフィールを比較した。約100の遺伝子で両者の発現増加率が高い相関を示し、これらには、Wt1、Mafbと競合するEgr1、Maffが含まれていた。培養podocyteを用いた実験では、これらの転写因子の変化によりpodocinの発現変化が認められた。

6. 腎の再生医療に関する基礎的検討:腎前駆細胞のニッチ内再置換による腎再生法

腎臓再生療法を実現するために我々は胎生臓器ニッチ法を開発した。すなわち異種の腎発生部位に幹細胞・腎前駆細胞を注入することで腎臓再生医療を目指しているが、そこには解決すべき課題がいくつか存在する。腎の発生部位にはもともとの腎前駆細胞が存在し、外来異種の腎前駆細胞を注入しても3割ほどしか定着しなかった。そこで、ホスト動物の腎前駆細胞においてのみジフテリアトキシン投与にてアポトーシスが誘導されるCre-LoxPシステムを用いた遺伝子改変動物を作成し、もともと存在していたホスト動物の腎前駆細胞を除去することにより発生ニッチを空けて、新たに別の腎前駆細胞を注入することにより、注入した腎前駆細胞が尿管芽との相互作用を継続し、腎糸球体や尿細管へと発生継続することを確認した。また、除去されずに残った尿管芽由来の組織と連続性を持つことも確認された。(Yamanaka S, submitted)。

腎病理班(病理解析チーム)インタビュー

病理解析に関して

糸球体腎炎とか腎病理というところで腎臓の病気の始まりに関わるところを専門としています。

腎生検に関して

腎生検というのは腎臓の組織の一部を取って診断する。
尿異常と言って尿淡白とか尿潜血とか出てるような異常とか、あと腎臓の機能が悪い異常を調べて原因を明らかにするという検査です。病気の診断だけでなくて病気の質的なところも診ていって、より患者さんに適した治療を探っていく検査になります。

診断から治療への流れ

患者様から頂いた腎臓の一部というのはいわゆる光学顕微鏡、それから電子顕微鏡、それから
免疫染色といった染色をして診断の方に繋げていくという形になります。
当科におきましては、我々腎臓内科医が標本を診て患者さんの状態と合わせて治療を決定していくという形になります。
もちろん一人の判断ではなくて、毎週カンファレンスを行いまして、腎生検の画像をみんなで確認してみんなで治療法を確認するという形になります。

腎生検の適応

腎生検の適応というのは尿の異常、尿淡白、尿潜血っていうのが出ている方だったりとか腎臓の機能が悪い方っていうのが適応になります。

腎生検のやり方

腎臓は背中側にあるので患者さんにはうつ伏せになって頂きます。うつ伏せになって頂いて背中から針をさして腎臓の一部を取るという状況になります。取れる腎臓の組織は非常に小さいので5回程度針を刺して腎臓の組織を取らせて頂きます。腎臓の針を刺す時間自体は約10分くらいなんですが、その前にしっかり皮膚と筋肉、腎臓の表面に局所麻酔をして痛みがない状況でさせて頂きます。検査自体は10分くらいなんですがその後約6時間の安静時間が必要で、というのも腎臓は血流が豊富な臓器なので出血を防ぐという意味でしっかり止血をした後安静にして頂くことが大事になります。6時間の安静の後、それもちょっと辛いんですが翌朝までベットの上にいて頂いて一連の検査が終わりという形になります。

研究に関して

うちの医局は古くからIgA腎症というのをメインに研究しています。
実際うちのこれまでの歴史の中でかなり多数のIgA腎症の患者さんを診断して治療してきてるという状況なので、そういった患者さんの状況を臨床研究としてまとめて報告しているというのもあります。また現在は日本国内の多数の施設を共同してIgA腎症のデータベースを作って、これから解析にいくわけですけれどもそういった中である一定の役割を果たしているという状況になります。

今後のビジョン

我々は非常に長く患者さんを診ているから丁寧に診てると自負があります。なので今、一つの病気の中にも原因のわからない多数の多様性を有する疾患ていうのがかなりあるのでそういったものを一つ一つ丁寧に抽出してしっかり概念を細分化できてより患者さんの治療に適した方法ができるようになれればなという風に思っています。

研修生へメッセージ

うちの医局は非常に大きい医局になります。腎臓内科の医局においてはかなり人的な人としてかなり豊富にいるという状況で、患者さんも多数、かなり丁寧に診ているという状況があります。先輩たちも向上心が非常に高い、日本の中での腎臓病学をかなりおっきい部分を作ってきたのは自負があるんですね。なので先輩たちと仕事していると自分もかなり力をつけさせてもらった、高いところまで引っ張ってもらったところがあるので、みんなで高みに登ることができる医局だと自負しているので是非若い先生たちにもきて頂いて一緒にこれまで僕たちが引き継いできた先輩たちの仕事をこれからきて頂く先生たちと一緒にしていきたいなと思っています。

腎病理班(再生医療チーム)インタビュー

再生医療に関して

やっぱり腎臓内科といえば、血液透析、腹膜透析、腎移植、その三つしかやっぱりモダリティがない中で、もう一つ更に腎臓が悪い患者さんの助けになるような治療法として、ええ、追加できたらなというようなイメージですね。
血液透析だと時間の制約とかかかってしまいますし、ええ、あとは腎移植でも、腎移植は非常にいい治療法だと思うのですが、腎移植でも免疫抑制剤をしっかりと毎日飲んで行かなきゃ行けないという、そういうところを少しでも軽減する、できるような、新しい治療としてこう、確立できたらなというようなかたちで研究させていただいていますね。

研究の方では私はiPS細胞という多能性幹細胞という細胞の一種なんですけども、多能性幹細胞というのは無限に増殖できて何でも分化できるといった最近注目を集めている
細胞なんですけどもこの細胞から腎臓の前駆細胞を作るといった仕事をしております。このiPS細胞は患者さんからも作ることができますので、例えば腎不全、透析を受けている患者さんからiPS細胞を作ってそこから腎臓を作ってその患者さん由来の腎臓を作ることができないかなと着手しております。
患者さんの血液をだいたい10ccくらい頂ければそこから元となる細胞を取ってきて、その細胞を多能性幹細胞に変換して腎臓を作るといったことをやっております。
自分自身の細胞から作った腎臓であれば 将来移植した時に免疫拒絶といった拒絶反応を避けることができますので 非常に大きなメリットがあると考えております。

腎臓特有の幹細胞である前駆細胞というものに着目してそこから動物の腎臓を足場にして外来性の前駆細胞からネフロンを作るいうのに成功したんですけども、それがゆくゆく何になるかと言いますとヒトの体に植えられるような動物の腎臓にヒトの細胞を移植して、動物の腎臓を足場にしてヒトの腎臓を作る。そういう研究の最初の先行的な成果は出ました。
まだげっ歯類モデル、(=ネズミのような小さな動物)での研究なんですけども、まぁゆくゆくは そのサイズを大型化して行ってブタなどを使うことで人の治療に向けてできるようにやっています。
腎臓の再生は非常に難しい臓器でまだ再生十分な尿を出す臓器、 腎臓の再生には至っていません。これからの研究課題がありますので今それについて研究しています。

今後のビジョン

大学病院に勤める医者の心がけとして、臨床と、研究と、あとは教育と、あとはその他、みたいな感じで4つ挙げさせていただくとすると、臨床はやっぱり今まで通りというかこれからも出来るだけ患者さんに寄り添って、その患者さんの為にやっぱり医療を提供できるような、まだままもう修行中の身なので、努力して行きたいなと思ってます。で、研究に関しては、ええまあ再生医療の研究をほんの少しお手伝いさせていただいているので、それが一日でも早く患者さんに届けられるようにやっぱり研究をガンパって行きたいなと思います。あとは教育ですね。やっぱり、あのう、人の力は偉大というかやっぱり多くのスタッフが協力して、そのう、同じベクトルを向いてくれることによって、やっぱり患者さんに非常に大きな、あのう素晴らしい医療を提供できると思ってますんで、やはり腎臓内科を心がけてくれる、同じ気持ちを共有してくれる後輩を育てる為に、やっぱりそこの教育のところも力を抜かないで行きたいなと思っています。最後におまけとしては、まああのう色んな機会をやっぱり与えていただいているんで、それはあのう学会のスタッフとしての仕事であったりとか、例えば医局をよりよくするための作戦ですねそういうのをこれからも、まあ僕はただのいち平社員ですけれども、これからもまあ考えて行動して行きたいなと思っております。

研究で腎臓再生の治療法に繋げられるかという研究をやっています。腎不全で困っている患者さんは非常に多くいますので、その患者さんにいち早く腎臓再生、治療法として届けられるような腎臓再生の技術の開発をしたいと思います。
やっぱりいま腎臓再生するっていうが一番の僕の所属している研究室の目標ですのでiPS細胞からの腎臓前駆細胞、腎臓の元となる細胞をいかに効率よく作って慈恵が目指す患者さんの元に届けることが一番のビジョンというか目標です。

医局の雰囲気

多分皆さんお越しいただければわかると思うんですけど、皆さんかなり笑顔で働いていますね。あのう、まあいい意味でも悪い意味でも、色々ディスカッションをしますし、あのう先生のここがいいところだし、ここは悪いところだからこうしてこうよというのが、普通に言い合える仲ではあるんで、またまあ、もちろん患者さんともそういう関係が、ええとスタッフみんな心がけていますし、まあ患者さんもやっぱりわたくしどもを信頼していただいているとは思うので、その点でこう患者さんとも笑顔で話せるって言うのがやっぱり一番のいいところなのかなって思いますね。そこがうちの医局のウリですね。

研修生へメッセージ

根本的にはうちの教室はもう臨床教室であって、もう日々、朝から晩まで皆さん、うちの医局員みんなこう、患者さんを拝見する。例えば人によっては外来で何十人も患者さんを診て、人によっては病棟医として、人によっては血液透析の専門家として、あのそういう透析病棟業務、外来業務など含めて、臨床医として働いて行く。それがもうほとんど日常生活の半分以上だと思うのです。で、残りの半分で何をやっているかというと、やっぱり人それぞれ興味のある研究をやっていて、ええ、まあ、また、ないしはやっぱり教育に力を入れていて、あの後輩たちの教育をがんばってやっているというような、あのう非常にそうですね、臨床だけでなく、教育や研究にもアクティビティが高い医局だと思っております。

医師3年目から5年目にかけてのプログラムの中で、体系的にやっぱり腎臓のことを教えて、出来るだけ丁寧に教えてあげようっていうのを心がけてまして、ええと、今だったら有志で、月一回ぐらいこう集まって一個ずつ、物事を一個ずつ勉強するって言うのをちょっと、出来る限り参加させていただいてお手伝いさせていただいたりとか、もちろん日常の臨床業務の中であのう患者さんの、こういう患者さんだからこういう治療をしようとかそういうようなことは、もちろん病棟の医者、透析室の医者、皆、こう心がけてやっているとこではありますね。

研究然り臨床然り教育然り、非常にいろんな人たちがそれぞれのことをやっていますし、いろんな人たちが集まって多様性を許してくれる科だと思うので悩んでいたら まず飛び込んできて欲しいです。
腎臓内科は偉大な先輩が多くてみんな患者さんに熱心に向き合ってる科だと思います。また後輩の指導も熱くして頂けますし、またいろんな研究腎臓病理もそうですし、透析もそうですし、いま再生といった新しい分野の研究もできる非常に臨床に研究に教育に熱い科だと思っていますので、ぜひみなさんと一緒に腎臓内科で働けたらいいなと思っております。

学会に関して

これは後期研修医に限らず、もう研修の、初期研修の先生もそうなんですけれども、うちの科にこう、ローテーションで配属されている間、2ヶ月間の間で、あのう希少、もし希少な症例、あのう大変これは学会に報告しなきゃいけない、いい症例だねというのがあればもちろんそれはあの全力でバックアップして、先ずは内科学会に発表するところから、場合によっては、私どもの腎臓内科のええと、学会ですね、腎臓学会に発表したり、透析医学会に発表したりというようなことをええとバックアップして、ええ、大体もう初期研修で他の科の志望の先生であっても出来るだけ発表の機会を与えてあげたいなというかたちでやらせていただいてます。

OBに関して

60年以上の歴史がある医局ですので、あのう先輩方の中には、あのう優秀な先輩もいっぱいいらっしゃいまして、ええ、例えばその大学病院のええ主任教授をやっていらっしゃる、そのうちの医局の卒業生で、大学病院の主任教授をやっていらっしゃる先生ですとか、あの有名な市中病院の診療部長をやっていらっしゃる先生とかもいますし、ええ、例えば研究の分野でも、ええ、アメリカとかに渡って、アメリカで研究所をこう、のオーナーというか、して、研究をあのう引っ張って行っている、世界の研究を引っ張って行っている先生もいらっしゃいますね。なかなかそこまでは夢はそこにたどり着きたいと思って皆頑張っていますけど。はい。


腎生理・代謝班

1. 慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝に関する研究

慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)における副甲状腺CaSR、VDRのDNAメチル化パターンが変化している事を報告している(Uchiyama T Hum Cell 2016)。現在CKD-MBDが副甲状腺のヒストン修飾に与える影響について解析している。また副甲状腺発生に必須な転写因子Gcm2が副甲状腺機能維持に与える影響、そしてそのオルソログであるGcm1の腎臓における機能解析をしている。

Mgが腎不全患者の生命予後に関与する事が近年明らかになりつつあるが、我々はMg濃度にプロトンポンプ阻害剤が関与する事を明らかにしている(PLOS ONE 2015)。現在血液透析患者を対象に血清Mg濃度及びFGF23が、全死亡を始めとした各種アウトカムにどのように影響するか前向きコホート研究を行い解析している。また2型糖尿病患者を対象に、糖代謝に関連するサイトカインとFGF23の関連を、インスリン抵抗性と骨ミネラル代謝との関連を調査している。

2. 腎移植に関する研究

我々は、Japan Academic Consortium of Kidney Transplantation (JACK)に参加し、腎移植患者を対象とした多施設共同研究を行った。本年度は、IgA vasculitisの予後・生着率・再発率について(Kawabe M CEN Case Reports. 2016)、傍尿細管毛細血管におけるCaveolin-1発現の意義について(Nakada Y Clin Transplant 2016)、Medullary ray injuryの意義について(Niikura T Transplant Proc 2017)報告した。現在、腎移植におけるAlport症候群・糖尿病性腎症、高尿酸血症に関して解析している。当院の腎移植レシピエントにおいて、GLCCI1遺伝子一塩基多型および移植後貧血の解析を進めている。また、ドナーベースライン生検の腎予後予測因子について解析している。基礎研究では、vivoでは、ラット腎移植モデルを確立し、内皮細胞の形質変化について解析中である。また、ラット腎不全モデルの腎線維化におけるpericyteの役割について解析中である。Vitroでは、培養内皮細胞を用いた細胞外基質の産生機序について解析中である。

3. 腹膜透析に関する研究

我々は、33年間の後ろ向き研究により、PD関連腹膜炎の病態が変化してきていること、被嚢性腹膜硬化症(EPS)の危険因子になることを報告した(Nakao M Nephrology (Carlton) 2016)。また、PDとHDでカルシウム値とPTHの関連性が異なることを報告した(Morishita M Clin Nephrol 2016)。現在、重炭酸含有腹膜透析液の臨床効果、糖尿病PD患者の検討、腹膜病理の検討を行っている。腹腔鏡検査を用いて腹膜透析液の中性化による腹膜傷害を評価し、東北大学との共同研究の研究で極細内視鏡の開発を行っている。

4. 腎性貧血に関する研究

我々は、日本透析医学会データベースを用いた19万人の検討で、血液透析患者において血清フェリチン高値が生命予後悪化に関連することを報告した。また、重要な鉄代謝ホルモンであるヘプシジンの研究を続けており、すでに、透析を受けていない保存期CKDにおいて、腎性貧血の病態に深く関与るすることを報告している。現在は、HD患者やPD患者も対象とし、特に残存腎機能との関連性を検討している。

腎生理代謝班(腎性骨症チーム)インタビュー

腎性骨症に関して

中島:腎不全患者、透析患者さんの中の、骨ミネラル代謝、CKD-MBDといった分野を専門で特に行っています。

内山:慢性腎不全は生命活動を行っていれば必ず毒素が産生されて、それを体外に出すという作業が必要なわけですけれども、ま、単純に慢性腎不全は毒素を体外に出すということだけではなくて、様々な合併症を引き起こします。その中の代表的なものとして、ミネラル環境が大きく変わるということがありまして、特にそれは近年は血管石灰化、いわゆる動脈硬化を介して、生命にすごく影響を及ぼす重要な因子だということが判明しておりまして、ま、それに対して見識を深めていくということを、僕はおこなっておりまして、特にその中でミネラル代謝を司る色々なファクターの中で、副甲状腺というものが主要な組織になるわけですけれども、副甲状腺における機能を研究しております。

研究に関して

CKD-MBDの分野の中でも臨床研究、特に患者さんの検体であったり、患者さんの臨床情報を用いて、調べている研究をメインで行っています。実際、論文化したものでは、PPI、胃薬なんですけども、それが透析患者さんのマグネシウムの濃度に関与するといった研究であったり、あとは、テストステロンといったホルモンが透析患者さんの予後に関与するといった研究を行っています。現在はそれ以上にFGF23やKlotho(クロソー)といった骨ミネラル代謝に関与するタンパクが透析患者さんにどのように影響するのかというのをメインで研究を行っています。

副甲状腺という臓器は、そもそも生物が陸に上がる時に脊椎動物に進化していく過程で初めて獲得された臓器で、まだその正常な機能とか役割はまだよくわかっていないというのが現状なのですね。で、その副甲状腺という臓器が色々こう影響が及ぼされるひとつの因子があくまでも慢性腎不全ということになりますので、僕は副甲状腺のその正常な機能と役割を解明するということに加えて、腎不全環境ではまた副甲状腺がどうなるのかということを研究しております。その中でも近年すごく活発に研究されているエピジェネティクスというメカニズムがあるのですけれども、そのエピジェネティクスを介した副甲状腺の研究を特にしております。

エピジェネティクスに関して

大きなメカニズムとして、DNAのメチル化という機構と、ヒストンの修飾という機構と、あとはノンコーディングRNAによる制御という大きな3本の柱があるわけですけれども、その中で私は腎不全環境において副甲状腺で、ある特定の遺伝子がDNAのメチル化の程度が変わっていて、それが遺伝子発現制御に影響を及ぼすかもしれないというのを論文というかたちで発表しております。今、そこから続けて、腎不全環境におけるそういうエピジェネティクスな修飾だけではなくて、正常におけるミネラル環境においてのエピジェンティクスな修飾も合わせて研究しております。

世界的にも未解明?

副甲状腺に関してはまだかなり解明が進んでいないとのが現状ですね、そもそも副甲状腺というのがまだ正常な機能がそんなにわかっていないというのもありますので、エピジェネティクスな分野そのものはもう世界中で研究されていて今まさに進んでいる分野ではありますけれども。

今後のビジョン

慈恵医大腎臓内科から、是非、腎領域における何か新しいエビデンスを発信できるような臨床研究を行っていきたいと思いますので、あのう、それについて今後も進めていきたいと思います。

僕は動物、特にネズミを使った実験をしているのですが、やはり動物実験で終わるのではなくて、せっかく臨床医としても働いている身としては、それを患者さんに還元したいという大きな目標があるので、そこから患者さんに戻せるような最終的には研究を行ってやっていきたいと思います。

研修医へメッセージ

慈恵医大の腎臓高血圧内科なんですけども、臨床の面においても、研究の面においても、エキスパートがすごい揃っています。で、さらに付属病院もいっぱいありまして、コモンディジーズから腎疾患、非常に専門的な領域まで学ぶことができて経験できることができるので、腎疾患を勉強したい方は是非、腎臓高血圧内科はおすすめだと思います。

腎臓内科としてのやはり基本は、腎病理を代表する腎疾患がもう言うまでもなくとても重要なことになるのですけれども、慈恵医大腎臓高血圧内科では、そういった腎病理そういったものだけではなくて、例えば高血圧でしたり、私どもみたいにミネラルの研究をしていたりと、様々な臨床、研究ともに、こう情熱を持って臨んでいる数少ない医局のひとつだと思いますので、是非一緒に僕らと勉強して欲しいというところです。

腎生理代謝班(腹膜透析チーム)インタビュー

腹膜透析に関して

松尾:慢性腎臓病はやはり不幸にして治療の甲斐なく進んでしまうと透析を必要とする末期腎不全という状況になります。その時に、あの、腎臓の代わりをしてくれる治療を腎代替療法と言いますが、それが血液透析と腹膜透析がありまして、そちらの方の特に腹膜透析のほうを専門としています。

古谷:ご自身の腹膜を介して、毒素を除去するという、血液透析に比べてかなり緩徐に毒素を抜けることができますので、ご高齢の方ですとか、ご自宅で透析を行いたいという忙しい若い方になども積極的に薦められる治療です。

丸山:腹膜透析については、慈恵医大では、1980年代から日本に先駆けて腹膜透析を行っていまして、それが我々の医局の中で脈々とそれが受け継がれている状態です。現在も、慈恵医大の付属病院、関連病院で腹膜透析を続けていまして、それに伴う手術、あとは患者さんを外来で診ること、入院で診ること、あとは臨床研究などをずっと続けています。

手術に関して

慈恵に関しましては、腎臓内科医がテンコフカテーテルという腹膜透析で使うカテーテルの挿入と抜去を行っています。それを一元的に腎臓内科がやることで、腹膜透析の管理をしっかりすることができると思います。

併用療法(ハイブリッド治療)に関して

腹膜透析は通常週7日、自宅でご自身で透析をやるわけですが、やっぱり血液透析に比べて透析量が少ないということがありまして、大体3年から5年ぐらいで腹膜透析だけでは体内で産生される毒がまかないきれなくなってしまいますので、そういった時に通常は週3回の血液透析に切り替えることが多いのですが、患者さんやっぱり自分自身お仕事もされていて、趣味もあって、週3回血液透析に通院するのが困難な患者さんも多いので、そういう方の場合には、腹膜透析を続けつつ、週3回のところを週1回血液透析をやって、拘束時間を減らして、ご自身のライフワークを損なわないようにうまく透析を調節していくというのが併用療法の臨床での目標になります。

併用療法の研究に関して

研究に関しましては、併用療法、まあ、腹膜透析と血液透析を両方一緒にやるわけなのですが、実は世界の中で行われているのはほぼ日本だけとなっております。海外でははやり腹膜透析のみで透析量が足りなくなってしまった患者さんは、血液透析に切り替える、もしくは移植をするということになりますけど、日本では移植はあまり症例数が多くないので、併用療法が行われていて、日本では現在、大体9千人ぐらい、日本全体で9千人ぐらいの腹膜透析の患者さんがいらっしゃるのですが、そのうち20%が併用療法をやっているというデータがあります。なので、日本の中では十分認知度が広がっている治療法ではあるのですが、国際学会等ではまだまだ全然認知度が足りないので、ま、我々が併用療法を行って、そのデータを海外に公表して、で、併用療法の有効性をどんどん証明していって、願わくば、併用療法といったものを日本だけでなくって、欧米、世界に広めていきたいな、というのが我々の研究の目的になっています。

併用療法が日本で普及する理由

日本で併用療法が普及する理由として、ひとつには保険制度の問題がありまして、やはり腹膜透析と血液透析の療法を行いますので、もちろんコストがかかるという面が1点。あとは、血液透析に関しても、日本は血液透析の質、透析はまあ、水を使うわけですから、その水のきれいさの基準、あとは透析に用いる機械の性能などは日本が世界の中でも飛び抜けていますので、週1回の血液透析を併用する、で、コントロールするということが日本では可能になっています。

併用療法は国際的にも有効?

特に日本はまあ狭い国でして、血液透析の施設に通うことがわりと簡単な施設ですが、よその、欧米の例えば人口密度が低い地域ですと、週3回血液透析の施設に通うのが難しい地域も決して少なくはないと思いますので、そういうところで、血液透析はやらなきゃいけないのですが、週3回じゃなくて1回であれば通院の回数も少なくなりますので、そういったところでニーズはあるのではないかなという風には感じています。

今後のビジョン

腎臓内科だけではないかもしれないのですけれど、ご高齢の患者さんも多いので、ご家族とご本人と相談しながら、ま、腹膜透析だけでなくて、腎臓全般にわたって色々と一緒にサポートできていけるといいかなと思っています。

腎臓高血圧内科が今、女性医師も非常に多くなってきていまして、女性医師ならではのこの細やかな治療というのがすごく合っていると思うんですね。なので、もう男性医師よりも女性医師の方が多い医局にしていきたいというのが一つあるのと、あとはあの、これは自分の専門的なことになりますけれども、腹膜透析をもう少し広めていきたいなというのがありまして、特にクリニックとの連携であるとか、他の病院との連携であるとかそういったところをもっと広めていけたらなと思っています。

一応臨床を、まあそれは腎不全、透析、移植、限らず、臨床をしっかりやっていくというのが、我々、私だけではなくで、我々医局全体の目標というか使命であると考えています。その他には、やっぱり今まで患者さんを診察していてまた困ることがあったり、ジャッジに困ることがあったり、悩むことがありますので、そういうことに関しては、もちろん、教科書を見たり、論文を見たりというのも大事なのですが、自分たちの手で、自分たちが日頃から診療に携わっている患者さんのデータを使って臨床研究を行って、そこから得られたものをエビデンスとして自分たちの社会に還元するとともに、そのデータをまた自分たちの医療に還元して、未来の患者さんに対する医療のレベルを一段回上げていくと。で、そういうのをどんどん続けていって、慈恵医大の腎不全医療のレベルを、ま、慈恵医大だけでなく外にも発信していきながら、こう、レベル全体を底上げしていくというのが私の目標であり、使命であると思っています。

研修生へメッセージ

腎臓内科というと、私も研修医の頃には、電解質とか、透析とかちょっとよくわからなくて難しいなという印象が強かったのですけれども、実際こう現場で働いてみると、やはり患者さんにとって透析不可欠であったり、その前のこう治療の方針を一緒に考えられたりですとか、かなり全身を診れる科かと思います。特に科の中でも色々専門が分かれているので、自分のやりたいことを積極的に教授も支援してくれるというか、やりたいことを見つけてそれをがんばるという体制が整っていると思いますので、あのう、難しいなっていうイメージよりは働きやすいかなというのをポイントにしたいです。

臨床研究においてもなんですけれども、かなり学会での発表なども力を入れてくださっているので、海外で発表したりですとか、ちょっと自分で何かこうテーマを持ってやりたいよっていう臨床研究も許可をいただいたりできるので、そういう色々試してみたいなとか、新しいことにチャレンジしてみたいなですとか、手術の細かい工夫とかも、あのう、できるかなと。それをまあ慈恵から発信していけるかなというふうに思っています。

腎臓高血圧内科は、患者さんをですね、ほんとに長い年月つき合っていくような科になります。なので患者さんとの仲もすごく近くなりますし、学問的にもやはりまだわからないこととか、新しくわかってくることが多くて、常に勉強していかなければいけないですし、ま、そっちのアカデミックな部分と患者さんとの触れ合いの部分どちらもやはりやりがいのある科だと思っています。
20年目になって思うことは、20年間全く飽きない科だったということで、選んで正解だったかなと思います、はい。

我々のコンセプトとしましては、一人の患者さんを我々腎臓内科だけで診るというのがコンセプトですので、透析と腎不全で通院してらっしゃる患者さんが、腹膜透析が必要になりましたっていえば、我々の手で腹膜透析の手術をする、血液透析が必要になりましたと言えば、我々の手でシャントの手術をする。そして、外来で診させていただいて、腹膜透析やっていて、で、血液透析に移行しなければならない、そういうときは、腹膜透析のカテーテルを抜かなければいけないのですが、それもやはり全部自分たちでやる。一患者さんにとってはあの、主治医と言われるドクターが保臓器から透析その後もずっと一貫して全ての処置に携わっていくということで、医療のレベルを上げていくというのが我々のコンセプトになっています。

慈恵の腎臓内科ではとりあえず全ての治療のモダリティが見られること、あとは全てモダリティに絡む処置、腎生検であったり、腹膜透析の手術だったり、シャントの手術であったりというのも全て自分たちでやりますので、その腎不全医療に絡む全ての処置というのをひとつの医局で体験して、実践できるというのが、一番研修医の先生方にとっては一番の利点になるのかなと思います。

腎生理代謝班(腎移植チーム)インタビュー

移植前から移植後の流れ

今私たちは血尿、たんぱく尿といった初期の段階の尿、腎臓の異常を健康診断などで指摘された患者様を、ご紹介を受けた方から診断をして、治療をして、その中でも 腎不全が進行してしまった患者さんに対しましても個々の患者さんに大切な腎代替療法、 腹膜透析や血液透析を選択して頂くように全力でサポートしています。 そして私も専門でやっています腎移植につきましても3つめの大きな腎代替療法を手法として患者様に適切なアドバイスをして行えるようにやっております。 そして腎移植につきましては私たち腎臓内科医が移植の前から移植の長期に渡るケアまでを主体となってやらせて頂いてます。

まず移植の中で重要な周術期の管理に関しましては泌尿器科の先生や麻酔科そして形成外科の先生方とチームを作って一致団結してその手術に対してはより確実で安全なものを今までやってきてできるように努力しております。そのあと、患者様が周術期を終えてですね、退院された後もより長期に渡って私達腎臓内科医でかつ移植認定医の専門医を持っているものが責任を持って外来でフォローすることでより長期間ドナー様から頂いた腎臓が生着できるように患者様を診させて頂いています。

この移植の移植における特徴

内科医が手術に実際に入ってですね、取り出した腎臓を還流したりですね、腎組織を生検といった組織を取る手技を術中に我々自身が行って直接患者さんの状況を手術中からしっかりと管理して理解することでより身近にですね患者さんを感じながら移植の医療を進められるという点に関しては他の施設にはない 私たちの特徴かなと考えております。

当院の血液浄化の特徴としましては 腹膜透析の患者さんが非常に多いというところが挙げられます。
当施設では年間でだいたい120件くらいの透析導入の患者さんがいらっしゃいますけれども
約20パーセントの方が腹膜透析を選んでいらっしゃいます。その為腎臓の移植に関しても腹膜透析から移植をされるという方が他の施設に比べたら比較的多くいらっしゃいますので腹膜透析の患者さんでも安心して腎臓の移植を受けて頂けると思います。

腎移植の実績

今までうちの病院では140例近くの腎臓の移植をやってきました。
十年生着率ですね、腎臓がもっている(拒絶されずに腎機能が維持できており、透析療法を必要としない)期間というのが約85%ということで比較的良好な成績を収めていると思っています。

研究に関して

腎臓の移植の研究に関しては臨床的には東京女子医大と九州大学ですね、とコラボさせていただきながら臨床研究を展開しています。で、内容としては特に臨床研究の中で移植後に問題となる拒絶反応、それから再発生腎炎ですね、それから移植後の高血圧や移植後の貧血に関する臨床病理学的な研究を展開しています。また基礎研究においてはあのラットの移植モデルを作成しまして、そちらの拒絶反応や免疫抑制剤の効能に関する研究を展開しています。

今後のビジョン

移植領域においてもトータルで診ていくという日本の中では珍しい科ではないかと自負しています。ですので今後もこの伝統を引き継いで末期腎不全の患者様をトータルで支援していけるような、そういった形を目指したいと思っております。

慈恵医大の移植が年間10例くらい、月に1回程度なんですが腎不全患者さんは毎年どんどん増えていってやはり移植の数が足りてないのが現状で、移植を望まれている患者さんていうのが多くいらっしゃいますので、そういった患者さんに移植医療をもっと数多くですね、かつ質の高い医療を移植提供できるように盛り上げて行きたいなと考えております。

研修医へメッセージ

うちの科というのは腹膜透析、血液透析、移植と腎代替療法には3種類あるわけなんですけども それら3つを患者さんのライフスタイルに合わせて実現して選択して頂いてるという風に自負している科であります。ですのでそういった生涯に渡って患者さんのケアをトータルでケアしていきたいという研修医の方がいらっしゃれば是非我々と一緒に仕事していきましょう!
宜しくお願い致します。

私たちの医局は非常に腎臓内科の全国の中でも非常に大きくて人数も多いのですごく研究班が詳細に分かれてはいるんですが、その1個1個の内容についてかなり精通したドクターが何人もいますのでお互いそこをですね研究班の垣根なく何かあれば臨床面におきましても 研究面におきましてもすぐに相談していい方向に持っていけるというので教授を主体、始めとしてそういった姿勢が何よりも私たち局員の誇るべきところかなと考えております。

一人の患者さんを本当に初期の段階から末期の腎不全、移植という非常に一つの人生、患者さんの人生を、一緒に診れるという意味で非常に意味のある科じゃないかなと考えておりますので、一緒にそういった細かい大変なこともあるかとは思うんですが診療面だけではなくて、研究面も含めて腎疾患を診ていければなと思っていますので 是非興味を持っていただければなと思います。

腎生理代謝班(多発性嚢胞腎チーム)インタビュー

多発性嚢胞腎(のうほうじん)とは?

多発性嚢胞腎というのは、あのう、まあ文字通りですね、嚢胞、水の袋が腎臓の中に複数できて、それが正常な腎臓の組織を圧迫して、最終的に腎臓の機能を落としてしまう病気になります。一般的にはその病気になってしまった方は60代で約半数の方が末期の腎不全、透析を必要とするような腎不全になってしまうといわれています。ですので、早い段階で、患者さんのご病気を見つけてあげて、で、早い段階で治療に結びつけるということが私たちの役目だと思っています。

予防法に関して

定期的に例えば会社の健康診断であったり、あとは、えー、尿検査であったり、その健康診断の中で異常があるところで、その、多発性嚢胞腎の異常というのは発見されるケースというのが実際は多いので、あのう実際には受診される方の中では、そういった健診を経て、紹介されて、ここに受診なさる方がやっぱり多いという風になります。

当医局の強み

多発性嚢胞腎というのは非常にあのう特徴的な病気で、単なる腎臓のご病気だけではなくて、腎臓の他にもですね、腎外合併症といって、脳の血管の病気や、心臓の弁膜症の病気など、多彩な症状を呈します。で、実際にはそういった全体的な管理ができるというのは私たちの施設の特徴でもありますし、また、この病気のもう一つの特徴というのはあの、遺伝するといった特徴がありまして、そういったその遺伝子検査を含めた対応というのも当施設は可能です。そういった診療での強みというのはあると思うのですけれども、それ以外にもですね、私たちの先輩方が培ってきたその海外留学を含めたですね、研究の歴史というのもあって、そういったところは非常に私たちのやっていける研究の魅力だと思っています。

今後のビジョン

やっぱりあのう、患者さんを治すことです。で、今まで、この多発性嚢胞腎という病気というのは完治しないものだとされてきました。2014年からこの多発性嚢胞腎に対する特効薬とまでは言わないまでも、いい薬が出てきています。今後もこの病気に対する薬っていうのはまだ出ていくと思いますし、最終的には、その患者さんを治すというところにいくことが一番重要だと思っていますので、そこに繋がる研究や創薬、そういったことを意識した診療というのをしていきたいと思っています。

研修医へメッセージ

海外留学のチャンスというのはなかなかないという風に言われていますけれども、実際にはあのう、やっぱりその手を挙げて、やっぱりやりたいという志があれば誰でもできるものだと思います。で、そこにもちろんチャンスがあったり、なかったりというあのう、差があるかもしれませんけれども、私の場合は手を挙げた時に、あのたまたまその幸運に導いてくれた先生方がいらっしゃるというかたちで行くことができました。私は単身じゃなくて家族で行ったものですから、私だけではなく家族も海外生活のいいところを体験できたし、私自身もそのいい研究を体験できたり、いい研究仲間を多く見つけることができて、それは今後のこちらに帰ってきてからのですね、研究や診療に結びつく非常にとても大きな財産だと思っています。

どちらへ留学を?

アメリカのワシントンD.C.の近くにあります、アメリカ国立衛生研究所、National Institute of Health、というN.I.Hというところに3年間行って参りました。

日本とアメリカでの研究の違い

あのう一番大きな違いは研究費だと思います。あとは、その研究に割かれる人員の多さだと思います。あのう、多発性嚢胞腎という研究のジャンルは、必ずしも大きな研究ジャンルではなくて、ある程度日本人でもそれを専門としている人は少ないです。ところが、アメリカに行くと、アメリカ人だけではなく、全世界からそちらに集まって研究をされる方が多いので、研究者の数が多いということですね。あとは、それだけの人が集まるために十分なその研究の予算というのが多く割かれている。それに見合った大きな研究、より質の高い研究というのが行われていました。

日本へ戻ってきた感想は?

実際には研究をさせていただいた反面ですね、診療の時間というのが逆にアメリカに行っている間はなかったわけなので、今は診療させてもらえることの嬉しさというか、そういったものもあって、その両者を今後進めていって、一緒にやってくれる仲間をぜひ探してやっていきたいと思っています。


高血圧・尿酸代謝班

1. 慢性腎不全モデルラットに対するT型Caチャネル抑制薬の脳を介した腎保護効果

TCC抑制薬は血圧に非依存的に様々な機序で腎保護効果を示すことを以前証明した。このたび血液脳関門の通過性に違いがある新規TCC抑制薬としてNIP-301とNIP-302が開発された。今年度の検討でNIP-302の尿蛋白抑制効果が確認された。引き続き高血圧腎不全モデルラット(SHR)と、正常血圧モデルラット(WKY)における腎障害に対する効果、および血圧対する影響、交感神経活性、脳との関連につき検討する。

2. アデニン誘発腎不全モデルラットにおけるアジルサルタンの腎保護効果の検討

24時間血圧は、両群ともベースの血圧が低値であり、アジルサルタン(Azi)投与により腎保護効果、尿ナトリウム排泄の亢進、交感神経活性の有意な抑制を示し、腎臓のACE2活性の亢進を認めた。Azinの多面的に腎保護効果の機序の更なる検討を重ねる。

3. アルツハイマー病モデルマウスにおける脳内アンギオテンシンIIと認知機能障害およびサルコペニアとの関連(熊本大学との共同研究)

アルツハイマー病 (AD)は認知機能低下だけでなく、筋肉量減少や心機能低下を含めた多臓器障害を来す。脳内のレニン・アンギオテンシン系(RAS)の賦活化が認知機能障害を惹起することが示唆されていることから、ADの認知機能と臓器障害における脳内RASの賦活化の影響について、ADモデルマウスである5XFADマウスを用いて検討した。Ang II投与によって5XFADマウスはWTマウスに比し有意な認知機能の低下、海馬のマクロファージ浸潤の増加、血液脳関門の破綻、脳表層皮質動脈でのβアミロイドの沈着増加を惹起した。また、筋力低下、腓腹筋の萎縮、腓腹筋のマクロファージ浸潤増加を認めた。ADモデルマウスでは脳内RAS賦活化による認知機能低下や脳障害、骨格筋障害が惹起されやすいと考えられた。

4. 透析患者における血清尿酸値が全死亡および心血管事故による死亡に与える影響

高尿酸血症は、高血圧や慢性腎臓病の進展因子のみならず生命予後にも影響するとされるが、末期腎不全の患者における血清尿酸値の影響は一定の見解がない。本研究では日本透析医学会のレジストリから血液透析患者、腹膜透析患者を抽出し、血清尿酸値の死亡率への影響を検討した。血液透析患者では全死亡率および心血管イベントでの死亡率は単変量解析および多変量ロジスティック回帰分析でも、低尿酸群では全死亡のリスクおよび心血管イベントでの死亡リスクが高かった。高尿酸血症に対する治療介入は予後を改善させる可能性が考えられた。しかし腹膜透析患者ではこれらの傾向が認められなかった。

高血圧代謝班(高血圧チーム)インタビュー

高血圧に関して

専門は高血圧を専門としています。特に二次性高血圧って、あの高血圧の原因となる別の疾患があるかどうかって、それを調べるような事を専門にしています。

血圧の高い方というのはかなりいっぱいいらっしゃって、よく健康診断でも見つかるケースも多いと思うのですが、まあ、大体、140の90(140/90)以上とか言って、あの健康診断で出ると、あの高いですよっていう風に出ると思うのですが、あの、ただ血圧が高いだけで症状が無いことが多くって、じゃあその血圧が高ければ、その薬を飲めばいいかって言うと、まあそういうわけではなくて、原因として二次性高血圧といって、別の疾患が隠れている、例えば血圧を上げるようなホルモンが異常に多く出ていて、それが原因で血圧が上がっているって言うケースもあるのですね。なので、その辺を我々は力を入れて、あの診ているのですが。
ただ、その基本的には塩分を控えることが、一番というか、半分ぐらいはそれが治療となりますので、あの我々としては血圧が高いからといって、あのうむやみやたらに薬を出すでもなくて、まず原因をしっかりこう検査とかで、あとお話しをさせてもらったりとかして、見極めて、で、まあ減塩だけで済むんだったら減塩だけ努めてもらうとか、あるいは先ほど言ったそのホルモンの異常でなっているようであれば、まずその薬を飲まないそのホルモンの経過を追って行って、その病気を正しく診断して、しかるべき治療を受けてもらっていうことに力を入れています。

予防法に関して

必ず防げるというわけではないかもしれませんけれども、適度な運動が必要で、激しい運動じゃなくても、有酸素運動をするとかですね。
あるいは、あの、ま、お酒ですよね。お酒も、あのお酒ってお酒を飲むとその時一瞬、血管がひろがって、一瞬、血圧が下がるんですけど、あの、夜飲んだその翌朝は血圧がぼんと上がってますので、あの、過度な飲酒も血圧を上げる因子になりますよね。
ですが、あのう、一応まあ適量なお酒の量というのは決まっていて、アルコールの量で言うと、30、1日30gって言われていて、ビールだとアルコール5%なんで、ビールがまあ中ビン1本弱ぐらい、ぐらいが適量かと思います。そういう感じで、その注意していればいいのかなっていう風に思います。

開業医の先生へ

開業の先生は血圧が高い、高血圧症を診るケースがかなり多いと思うんですね。お願いしたいのは、そこで直ぐにじゃあ血圧の薬を出しましょうって言う風にするんじゃなくって、塩分がどうとかそういうことをちょっとまあ聞いてもらいたいのと、あとはやっぱりその二次性高血圧を否定するために、あのホルモンの採血を、できればして頂きたいんですけれども、ただなかなかその採血って、安静にしなければいけないとか色々条件が厳しいので、あのそういうことでお困りのことがあったらまあの我々のところにあのご紹介いただければ、あのうしっかりそこを判別したいと思います。
これだけ高血圧の患者さんが多いので、しっかりその開業先生と我々と連携して、できるものとできないものをこうあの役割を分担しながらあの診ていければいいかなって風に思っています。

当医局の強み

原発性アルドステロン症では、治療は内服でやることもあれば、手術で高血圧が治ることもあるんですね。そこは他科とも連携して、治療方針を決めたりということはしています。
まあ、あと他にも、例えば、腎臓の血管が狭く、少し狭窄していて、それによっても血圧が上がるパターンというのもあって、それもやはり、あのー、画像検査とかをしないと分からなくって、ただレントゲン撮っただけだとわかりませんので、超音波とか、CTとかですね、そういうことをやりながらあの診断してわけです けれども、その辺は強みと言うか、まあ我々がやるべき使命でしょうね、

手術に関して

手術になるって言うのに一番多いのは、おそらく原発性アルドステロン症というべきかなって思うのですね。その原発性アルドステロン症でも、腎臓の上にある副腎という臓器からアルドステロンが病的に過剰に出ちゃう病気ですけれども、あのそれもまあ片側の副腎からいっぱい出るパターンと、両方の副腎からいっぱい出るパターンていうのがあって、あのう、それはまあの精査していくうちにわかるんですけれども、あのその片側の病変であれば、それを片側の副腎を摘出することによって、あの高血圧が完治する可能性もまあ、あるんですね。その中でもその片側の病変っていうのは、半分まではいかないですけども、まあそのうちの半分弱ぐらいは、あのう手術で治るようなパターンの方っていうのがいらっしゃるので、あのう、ま、高血圧で手術?ん?って思うかもしれませんけれど、あのう実はそういう疾患を抱えている人も多いかなと思います。

今後のビジョン

高血圧からくる脳梗塞なり、脳卒中なり、心筋梗塞なり、そこから高血圧から腎不全になる方もいらっしゃるのでそういうあの重たい病気になる患者さんっていうのをいかに食い止めるか、で、それにはどういう風にすればいいかとずっと考えているんですけども、あのもちろん血圧を下げるだけじゃなくてですね、そこに隠れている他の病気とかですね、いまだ解明されてないようなあのこととかですね、そういうことをちょっとあのまあいろいろ勉強しながらやってみたいかなと思っていて、それはその新しい治療法であったり、あるいは、まあ今わかっている病気の新しい機序というかですね、そういうことが解明出来れば、今の現状で高血圧の治療で血圧の薬を飲む、で終わらないで、なんて言うか別のアプローチからの治療を考えていければなっていう風に思います。

治療へのアプローチ

より患者さんの話を聞くようになりましたね。例えばそのどれだけその疾患に関する論文を読んで勉強したりとか、それに対する研究をしたりとかっていうことももちろん大事なんですけれども、やっぱり患者さんから得られる情報っていうのがすごく大事だなと思ってるんですね。患者さんが話してくれた情報っていうのは実はそのヒントになってそこからアプローチすればあの血圧が下がったっていうケースも結構あって、なので、患者さんの話を聞いて、聞いてって当たり前なんですけど、ま、詳しく聞いて、で、そこから問題点をこう、あの導き出して、そこからアプローチするっていう力が、まあそういう力が必要かなって思います。

研修医へメッセージ

私が腎臓内科に、腎臓高血圧内科に入ろうと思ったのは、全身を診たいからだったんですね。高血圧は生活習慣病の中でも一番多い病気なので、その高血圧を是正すれば、そういうようなその研究とか新しい治療とかを開発できれば、あのまあいろんな病気もなくせるのかなと思って、そういう単純なあの思いで入ったわけですけれども、実際入ってみて、その我々の腎臓高血圧内科は、腎臓だけを診ているだけでもないですし、あの高血圧だけを診ているだけでもないですし、あの内科全般にわたって全身を診るって言うのが全員の先生にしみわたっているので、それはそれすごく面白いんですよね。なので是非全身を診たいと思ってる先生は、あのうちの科を目指してくれればいいかなと思います。研究にしてもですね、あの診療だけじゃなくって、あの基礎研究と臨床研究両方やっていて、場合によってはあのう他の施設への留学とかですね、教授もあのそれを承認していて、積極的にやってるところなので、そういう研究マインドを持った先生は是非あの我々のところに相談していただければなという風に思います。